37回大会を終えて 審査委員からのメッセージ

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西垣

映画監督

西垣 吉春
(審査委員長)

ワンカットに想いを載せて・・・!

 

 今回は高校生の応募が沢山あり期待しながら審査、最終的に四作品がノミネートされました。どれも放送部の製作で、若者の映像への熱い想いを感じました。
 ただ、SNSなど難なく取扱う若者世代には、手軽に撮影できる為か、一枚の絵(映像=ワンショット)の撮影に執着心が足りないように思えます。この映像を是非観てほしいという作り手の熱意=情熱よりも、言いたいことを次から次に切取って、次から次と表現する。
 勿論放送部さんなので、伝えることが大切なのは判りますが、映像祭となると絵で表現することに主眼を置いてほしい。ワンカット、ワンカットのモンタージュが作品を創り上げていきます。兎に角、絵の積み重ねです。その為には引き絵(ロングショット)、寄り絵(ミディアムショット、アップショット)と映像に変化を持たせることも大切です。それでも作者の想いが伝わらないとなれば、そこで初めてナレーションを加え、スーパー等で捕捉しましょう。折角苦労して撮影した映像です。可能な限り映像を汚さない・・・・こんなことを考えながら作品として仕上げて貰いたい。レポートではなく、観客の皆さんがもう一度見て観たいと思える作品に仕上げてほしい。ちょっと視点を変えるだけで、夢と感動を届けられると思います。

 この映像祭は大きなスクリーンで鑑賞して貰います。モニターでの審査ではなく、観客と一体となった審査会=コンクールと位置付けております。
「命を届ける場所」が大賞に選ばれました。作り手の優しさが伝わるとても良い作品です。これからも映像創りを楽しんでもらいたいと思います。
                          (京・嵐山にて)

山本

NHK神戸放送局
コンテンツセンター長

山本 剛大

第37回丹波篠山映像大賞

  

 日頃、テレビのリポートや番組で「どうすれば伝わるか」に知恵を絞っていますが、より幅広い、力のこもった映像作品を拝見し、多くの発見をさせていただきました。
 映像大賞の「命を届ける場所」は、作者の温かいまなざしとリスペクトが伝わってきました。営みに密着したドキュメンタリーで、カラになった牛舎や空の色合いなど、映像で描写している点も印象的でした。「架け橋」は構成がよく練られていました。現場に足を運ぶ大切さ、経験していない人が伝承することへの葛藤、数字の意義と限界、離れた被災地を結ぶ思い・・・こうしたテーマが主人公を軸に展開し、取り組みの意義が自然と伝わってきました。「ささやまのばあば 76歳のアルバム」は、取り組んでこられた歳月の厚みを感じました。
 個人的には「私たちの部活事情」が興味深かったです。「いまを未来へつなぐ」というテーマは、なるほど「持続可能性」にもつながりますね。素朴な疑問から当事者を取材し、新たな発見に至る。この“調査報道”の過程を素直に綴った流れは好感が持てました。
 全般を通じて感じたのは、短い作品だけに、構成をしっかり練る必要があることです。「渡」は神事を丹念に取材していますが、守護職を継いだ男性の物語なのか、2日間のドキュメントなのか、見ていて迷いがありました。「藍より出でて青を知る」は題材が魅力的なだけに、地域や藍染めのことをもう少し理解した上で女性の思いに向き合いたいと感じました。主題を選び出し、見る人の立場に立って順番や方法を考える。そして、素材はできるだけ使いたいと思うものですが、あくまでも見る人のために要素を削ぐ勇気も必要です。

 このコンテストは「映像大賞」で、作品は大きなスクリーンに投影されます。やはり映像の力が大事です。思いを表すキラリと光るカット、物語を感じさせる“におうような映像”をぜひ盛り込んで、新たな発信・展開に挑んでいただければと願っています。



久保

サンテレビジョン
取締役
編成スポーツ・地域情報担当

久保 仁 


第37回丹波篠山映像大賞

 第37回丹波篠山映像大賞におきまして、「いまを未来へつなぐ」をテーマに、全国各地から寄せられた多数の優れた作品を審査する機会を賜りましたこと、心より御礼申し上げます。今回は国内のみならず、イタリアからの応募もあり、改めて本賞が広く関心を集めていることを実感いたしました。
 応募作品の多くは、「未来へつなぐ」という言葉の持つ意味を、それぞれの作者が多様な視点から捉え、表現したい思いや価値観を的確に映像へ落とし込んでおられました。とりわけ若い世代の皆様の独自の着眼点や挑戦する姿勢には、大きな可能性と今後への期待を抱かせるものがありました。
 審査にあたっては、いずれの作品も完成度が高く、優劣をつけがたいものが多かったため、選考は非常に難航いたしました。その中で、映像大賞に選出されたのは「命を届ける場所」です。東京の大学生、吉田理乃さんによる作品であり、半年にわたる取材を通じて、都市近郊に存在する牧場と地域社会との関わりを丁寧に描き出した点が高く評価されました。
 作品では、都会ではなじみの薄い牧場が、長年にわたり地域の人々へ新鮮でおいしい牛乳を届け続けてきた役割が明確に示されていました。また、命が受け継がれる尊さを子どもたちに伝える姿、経営を続ける中での苦労や葛藤、さらには惜しまれながらも閉鎖を決断するまでの過程が、限られた時間の中で表現されており、深い印象を残す内容となっていました。
 映像表現の手法や制作スタイルは多岐にわたり、一つの正解があるものではありません。近年は機材や編集技術、さらにはAIを含む制作環境も急速に進歩しており、新しい技術やテクニックを積極的に取り入れることは、今後ますます重要になっていくものと思われます。しかしながら、見る人の心を動かす作品の根幹は、時代が変わっても大きく変わらないのではないでしょうか。何を、どのように伝えたいのかという意志を大切にしながら、今後もそれぞれの視点で作品づくりに励んでいただければ幸いです。



 

 


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